以前の記事「TOEIC 800点取れたので、今年やった勉強を公開してみる 」で以下のようなコメントを頂きましたので、その返信です。
また、私は勉強と継続的な努力がどうしても苦手で、どんどん話すための英作 文や英会話絶対音読などの本を買いましたが、どうしても単調すぎて続きませ ん。 英文読解をしたり、Duoなどで英単語を繰り返しやることはそんなに苦で はないのですが。 繰り返し行うに当たって、tmaedaさんはどのようなことを意 識して飽きと戦っていらっしゃったかご教授頂けたら嬉しいです。 よろしくお 願いします。
私は以下のような点に気をつけることで 「継続の苦痛」と戦っています。
人それぞれ何を「退屈」と感じ何を「面白い」と感じるかは違うと思いますので、 あくまでも私の例ですけども、部分的にでも参考にできる部分があると幸いです。 英語以外のことにも応用できると思います。
まず私の環境をお話しておきます。
Outliers(翻訳:天才! 成功する人々の法則) などで有名な話ですが*1、
何かで一流になるには、1万時間の訓練が必要
という話があります。
私はプログラマーとして働いていますが、1日8時間、月20日を5年(8時間 * 20日 * 12ヶ月 * 5年 = 9600時間) 続けた辺りから、仕事がスムーズにできるようになった経験からも確かにこの1万時間というのが 一つの境目だという実感があります。
1万時間というと、
1日1時間、毎日やったら 約27年 1日2時間、毎日やったら 約14年 1日3時間、毎日やったら 約 9年 ... 1日8時間、毎日やったら 約 3年
という期間がかかる計算になります。
もちろん、分野によって1万より少なく済む場合もあれば、1万では足りない場合もあるのだと思いますが、 とにかくそれに近いぐらいの時間をやらないと、物事をしっかり自分のものにすることはできないのだと まず諦め、覚悟をする必要があります。
20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ:【TOEIC】点数を伸ばすために最も大切な「勉強時間」という考え方 にも
日本人が英語を同じ「日常的・専門的コミュニケーションにほとんど不自由がない程度まて習得したレベル」に 達するまでどれくらいの時間がかかるでしょうか。おそらく同様に「3,800時間」くらいはかかると思います
と書かれているように、英語に関してもやはり数千時間は必要になると思います。
例えば、「エキスパートまでは行かなくてもそこそこのことはできるようになりたいなぁ」という 程度にレベルを下げれば、1日30分とか1時間の勉強でもだいたい10〜20年あれば、トータルで数千時間の 勉強時間を確保できることになります。
1日30分、平日のみで20年なら、0.5時間 * 250日/年 * 20年 = 2500時間
さて、「1.覚悟を決める」に書いたように、 何かを習得するには数千時間以上の時間を必要とするわけです。 期間にして数年から十数年、のんびりやったら数十年という期間になります。
10年とか数十年とか聞くと「えー!そんなにかかるの!?そんなに悠長なこと言ってられねーよ」と 絶望するのですが、一度その事実を受け入れ、諦めることで明確に見えてくるものもあります。 そう、喩えるなら「余命1年と言われたらあなたは何をしますか」と言われたときのように。 スティーブジョブズもスピーチの中で「今日死ぬとしたらあなたは何をしますか?」 という気持ちを毎日持って生きて来た、と言っています。
あなたがやりたいと思っている勉強は本当にそれだけの期間続けられるもの でしょうか? それだけの期間・時間を費やしてでもやる価値のあること、やりたいことでしょうか?
そこがしっかり確認できていないと、その勉強は途中で挫折したり中途半端に 終わる可能性が高いです。
また、それだけの時間かかるのだと諦めがついていれば冷静に計画も立てられます。 例えば、20歳の人が、1分野20年計画でやっていくとして、80歳まで 生きるとしたら、3分野できることになります。そこそこの技能を発揮できる 分野が3つもあるって結構すごいことじゃないですか? 20歳から40歳までは英語を勉強し、40歳から60歳までは経営や会計を勉強し、 60歳から80歳までは音楽をやる、とか、20歳から60歳までは英語と経営を並行して 勉強して、60歳から80歳までは音楽をやる、とかね。 ドラゴンクエストというゲームにダーマの神殿というのがあって、 ある職業でレベル20まで到達すると別の職業に転職ができ、 「魔法が使える戦士」みたいなのが作れてしまうというのがありましたが、 あれにちょっと似てますね。

やりたいことがたくさんある人は「もっと毎日の時間を大事にして、 1日3時間ずつは捻出しないといけないな」ということにも気づけるでしょうし、 「20年なんて絶対気力が持たないから、私は絶対5年で終わらせるために 1日○時間は確保しなければ」という計画も立てられるでしょう。
天才になるのに遅すぎるということはない という記事に以下のような文があります。
そしてあの九十何歳かのおばあちゃんが後悔していることがありますかと聞かれたときに、何と答えたのかを覚えておこう。 「こんなに長生きすると知ってたら、60の時にバイオリンを始めたろうに。そしたらもう40年の経験を積んでいたことになる」
このおばあちゃんの言葉の出典がどこなのかは不明ですが、すごくハッとさせられます。 実際、 「中高年からはじめるバイオリン」の掲示板 なんてのもあって、こういうのを見ていると、「まだまだやれることはたくさんある!」とワクワクします。
1.の1万時間の話にも関連しますが、何かを習得するには閾値というものが 存在するようです。 おそらく脳の短期記憶から長期記憶に移るまでやるということなんだと思います。
短期記憶というのはすぐに消えてしまう記憶で、長期記憶というのは死ぬまでほとんど消えない記憶です。 この辺りのメカニズムについて私はそれほど詳しくはないですが、 一説によると1ヶ月ぐらい継続して必要とされる知識であれば 「生きて行く上で絶対に必要な知識である」と判断されて長期記憶 に保存されるらしいです。
その閾値に達する前に勉強を止めてしまうと、短期記憶にしかない知識が急速に忘れられてしまって、 せっかく今までやった勉強が全て水の泡になってしまいます。
これを知っていると、途中で勉強に飽きが来たりしても「今止めてしまったら、 今までやって来た勉強が全て消えてしまうのだ」という意識が働くので、途中で挫折しにくくなります。
そういう意味でも勉強の初期のうちは、とにかく少ない教材を何度も繰り返すのが大事な気がします。 1ヶ月のうちに何回も繰り返せる範囲に教材の量を制限することで確実に長期記憶へ入る ようにし、長期記憶への蓄積を確実に増やして行くのです。 少ないことを何回も繰り返すというのは飽きることなので、なかなかバランスが難しいところですが、 飽きない程度に教材の数を絞り込み、「長期記憶に入るのだ」ということを励みにしてがんばりましょう。
さて、しっかり覚悟ができ動機が明確になったら、数ヶ月とか1年ぐらいの 期間の目標を立てて、それを自分のblogなどに公開しましょう。
自分のblogなんて誰も見てないし誰も気にしたりなんかしてないものですが、 「もしかしたら、blogに書いたことを誰かにツッ込まれるかもしれない」 という意識が働きますので、「がんばらなければ」という気持ちが起きます。
目標を立てるときに気をつけることは「10年続けるためにはどんな 目標にすべきか?」ということです。
私は目標が達成できないと萎えてやる気がなくなるタイプですので、 なるべく低めの目標を立てることにしています。
達成できなかったとしても高い目標を立ててそれに 向けてがんばることに喜びを感じる方はそういう目標を立てると 良いと思います。
目標の設定期間が過ぎたら、その目標の達成具合や、もし目標が達成できなかった場合は 何がいけなかったのか、次はどう改善していくかも当然blogに公開しましょう。
大学入試試験のような短期決戦の勉強では細かくスケジュールを立てて それになるべく沿うように毎日目標と実績のズレを確認・反省することは 大事ですが、この記事で扱っていることは「10年20年続けること」なわけです。
10年やるんだと覚悟していれてば、1日や2日計画通りにできない日が あったって、ちっぽけすぎて落ち込む必要性なんかないですよね。 1週間ぐらい気分が乗らなかったり、体調が悪かったりして勉強が できないときだってありますよ、人間だもの。
でも、10年後に「私はこの10年、だいたい毎日英語を勉強してきて、 その結果、これだけ英語ができるようになったんです」って言えれば いいんです。
1ヶ月ぐらいは続いたけど、ある教材を1周終えた途端に全く 続けられなくなってしまった、なんてこともあるでしょう。 それは、単純にまだ機が熟してなかっただけだと思います。 2.に「動機を確認」なんて書きましたけど、その動機が本当に 確かなものかどうかなんて、実際にやってみないとわからないですからね。 動機を明確にするために、もう少し期間が必要なのだとわかっただけでも 前進じゃないですか。 もしかしたら「英語よりももっと先にやるべきことがある」と気づくことだってありますし。 その「先にやるべきこと」をやり終わった後にまた戻ってくれば良いんですよ。
また、こういうストレスというのも勉強の効率を下げてしまうらしいので、 なるべくストレスを感じないようにやる方が良いと思います。
私も実際、最初にジングルズに手を付けたのは2003年ぐらいだった気がしますが、 Level85を1周しただけで満足して一回止めてしまったという経験を経て、 今回(2010年)の1年の継続に繋がっています。
なるべく決まった曜日、決まった時間や、決まった行動パターンで 勉強するようにしておくと、「パブロフの犬」的な感じで「やりたくないなぁ」 とか「辛いなぁ」とか考える間もなく、条件反射的に勉強ができるので良いです。
ここで大事なことは、日課として達成しやすい曜日や時間を 選ぶことです。
私は朝の通勤時間が比較的安定している反面、 夜は残業があったり、飲み会があったりして安定していないので、 毎朝起きてから通勤準備を始めるまでの間に勉強することを 日課にしています。
朝にやると更に良いことがあります。朝起きてすぐは頭がリセットされて 真っ白な状態なので、「あ、○○さんにメールを書かなければいけないんだった」 とか「そういえば、はてなブックマークで面白い記事見つけて後で読もうと思ってたんだ」 みたいな雑念が気になりにくく、勉強モードに入りやすいです。
また、朝はホルモンの関係などで記憶が定着しやすいという説もあります。
私は昔は極度の夜型だったのですが、「夜にパフォーマンスを発揮できている 気がするのは気のせい。判断能力が落ちたり脳が疲労しているせいで、 パフォーマンスが出てないことに気づけていないだけ」という話を聞いてから (これが真実かどうかは別として)、きっぱり朝型に切り替えることが できました。
自分だけではリズムを作れない人は外部から強制的に リズムを作ってもらうような環境を整えるのも良いでしょう。 例えば、英語であれば、Twitterで自分と共通の興味を持つ英語圏の人をフォローして たまに自分のタイムラインに英語のコメントが流れてくるようにするとか、 NHKの「ゴガクル」のアカウントをフォローすると、 30分ごとに英語の問題が出題されるのでこういうのを利用してリズムを作っても良いでしょう。
英会話学校や英会話サークルなどに毎週決まった曜日に通うのも 良いでしょうし、最近はlang-8などの外国の人と交流できるSNSや、 Skypeを利用した格安のマンツーマン英会話教室(「ぐんぐん英会話」 とか「スカイトーク」とか「ラングリッチ」 など*2) もありますのでそういうところに飛び込んでみるのも良いでしょう。 もし身近に外国人と触れ合う機会が存在するのであれば(例えば観光スポットとか、 外国人が集まるバーとか)、毎週金曜の夜は外国人の集まるバーに行って 飲んで会話してくる、なんていうリズムの作り方もあるでしょう。 自分が一番継続しやすいリズムの作り方を選ぶと良いと思います。
英語に関して言えば、辞書や例文を素早く調べられるようにするのが非常に大事だと思います。
Mac OS Xには標準で電子辞書(Dictionary.app)が入っていますので、 これがお手軽です。但し、Dictionary.appだと見出し語の前方一致検索しか できず、例文の検索などができずに非常に不便ですので、 英辞郎という辞書と英辞郎ビューワを 利用して全文検索などをすると、いろいろな表現を素早く調べることができて勉強がはかどります。
また、私は出先でも辞書の検索ができるようにするために、 iPod touchにもiDictPlus などの辞書アプリを入れて、そこにオックスフォード現代英英辞典や英和中辞典などの EPWING形式の辞書を入れて串刺し検索できるようにしたりしています*3。
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EPWING版CD-ROM 新英和大辞典&新和英大辞典
オックスフォード現代英英辞典 第8版 DVD-ROM付
受け入れやすい学習方法というのは人によって異なるらしいです。 本を読むことで勉強するのが得意な人も居れば、講習会などで 人から話を聞くことで勉強するのが得意な人も居るし、自分の 体を動かすことで習得するのが得意な人も居るらしいです。
もちろん最初は言われた通りのやり方でやってみるのが大事だと 思いますが、もしそのやり方が自分に向いてなくて長期間 続ける事ができないようであれば、自分が続けられる方法に 多少曲げてしまっても良いんじゃないかと思います。 「続けられない正しい方法より、多少正しくなくても続けられる方法」 の方が、最終的な成果は大きいんじゃないかと思います。
もちろん、私が言ったやり方にも固執しないように!
人それぞれ、好きで好きでたまらないことってのは1つや2つぐらい あるんじゃないかと思います。忙しくて忙しくて時間がないのに 睡眠時間を削ってでもどうしてもしてしまうこと、というものが良いです。 例えば、好きな映画を見るとか、ニコニコ動画を見るとか、 はてなブックマークの記事は毎日チェックしてしまうとか、 ゲームはどうしても毎日やってしまうとか、Twitterやチャットなどで 人とお話するのは毎日やってしまうとか。
そういうものと、今自分がするべき勉強とを無理矢理結びつけられないかを 考えると長続きさせられます。
例えば、「好きで好きでしょうがない映画があって、 暇さえあれば何回でも繰り返して見る事ができる。何回みても飽きない。」 という人は、その映画の英語版がないかを探して英語版を何度も リピーティングやシャドーイングするなどです。
ダイエットなどでも同様の考え方があるらしいですが、 週に1日程度、食事を制限せずに自分の好きな物を食べる日というのを 設けることで「毎日食事を制限してて辛い」と感じている脳を 「あんまり辛くないな」とだますことができ、ダイエットが長続き するんだそうです。
私は基本的に土日には勉強の予定は入れない事にして、以下のような ことに時間をあてています。
このように土日に諸々のリカバリなどして精神状態を整えることで、 平日の単調なリズムの勉強に集中できるようにしています。
以上、マターリと英語の勉強を継続する方法でした。
もし、一部分でもみなさんの参考になる部分があれば幸いです。
すごい質の高い記事でした。近年まれに見る。最高です
yさん、ありがとうございます。大変恐縮です_o_
素晴らしい記事でした。英語だけに限らずどんなことにも当てはまると思います。<br>勉強になりました。ブログで紹介させて下さい。
mizuzuさん、ありがとうございます。<br>ブログでのご紹介もありがとうございます。
tmaedaさん、ありがとうございます!<br>ダレそうになるたびに何度も読み込んで、しっかりリズムを作りたいと思います。